伊豆諸島の筒営巣性ハチ類の群集構造

  • 発表者: 深澤悟
  • 要旨
    • 筒営巣性ハチ類の群集構造を森林,草原,畑,農村部,都市部などの土地利用環境に注目した研究例は多い.しかしながら,筒営巣性ハチ類の群集構造の地理変異についての研究例は少ない.そこで,伊豆諸島を調査地に設定し,筒営巣性ハチ類の群集構造を明らかにする.伊豆諸島では島の生物相に対する距離効果の現象が,同じ膜翅目であるスズメバチ科で報告されている.
    •  では,筒営巣性ハチ類においても島の生物相に対する距離効果があるのだろうか.本研究では,ネストトラップを用いて伊豆諸島4島(大島,新島,式根島神津島)と本土千葉県(2地点)における筒営巣性ハチ類相を明らかにし,島間の地理的・営巣季節の時間的側面から群集構造を解明することを第一の目的とした.
    •  次に筒営巣性ハチ類は,生息環境(生物的環境含む)に適した生活様式や形態をとることが期待される.築孔性であるトックリバチ(ドロバチ科)やキゴシジガバチ(アナバチ科)は,母バチが最も適したサイズの巣を作ると予想される.一方,筒営巣性ハチ類は,既存の孔を利用するため物理的な制約がある.おそらく,母バチの体サイズに最適なサイズを中心にある範囲のものが選択されると予想される.
    •  しかし,実際に選択される範囲は,筒資源に関して競合関係にある多種の在否に影響を受けると考えられる.体サイズおよび巣口サイズを測定し,島と本土において母バチに形態的な差が生じているのか,また,利用筒口径の分布に違いが見られるのか?第二の目的として,母バチの体サイズと巣口の大きさの関係を明らかにする.
  • KEYWORDS: フタモンアシナガバチ,伊豆諸島